2019年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まり、2022年10月にテレビアニメ化した『チェンソーマン』。9月には映画『チェンソーマン レゼ篇』が公開となり、大きな反響を呼んでいる。
10月25日・26日に開催された日本最大級のハロウィンイベント「池袋ハロウィンコスプレフェス2025」(以下、池ハロ)でも、同作に登場するキャラクターに扮する参加者が多く、普段は役者として活動する姫岡ゆきさんもその1人であった。まさしくレゼのコスプレを披露していた姫岡さんを取材し、コスプレのこだわりや活動について聞いてみた。
――まず、今回のキャラクターを選んだ理由を教えてください。
姫岡さん 劇場版(『チェンソーマン レゼ篇』)が公開されたという理由もありますが、その映画を見て『チェンソーマン』にハマったんです。もともと漫画も読んでいたのですが、作品自体は好きでも、当時はそこまでハマるほどではありませんでした。それが、映画を見てどっぷりとレゼの魅力に気づいてしまいまして。「せっかくイベントに参加するなら絶対にレゼをやりたい」と思い、選びました。
――コスプレイベントにはあまり参加されないのですか?
姫岡さん コスプレ自体は好きなのですが、私は役者の仕事をしており、スケジュールが不規則なため、あまりイベント参加の予定を立てられないんです。特にお友だちと「併せ(グループコスプレ)」の約束をすると、急な仕事で参加できなくなったときに申し訳なくて……。なので、今回はすごく久しぶりのイベントで、半年ぶりぐらいになります。
――衣装はどのように用意されたのですか?
姫岡さん これは既製品なのですが、サイズや形がどうしても気に入らなくて。届いてから1日ほどで全体を手直ししました。
――かなり手直しを?
姫岡さん だいぶ手直ししましたね。全体の形もズボンの長さもイメージと全然違ったので、切ったり縫ったりという作業を繰り返していました。結局、朝4時まで作業していて、ほとんど寝ずに来ました(笑)。
――小道具やウィッグでこだわった、またはお気に入りポイントは?
姫岡さん ウィッグです。制作には6時間ほどかかっています。これでも、他のコスプレイヤーさんに比べると短いほうかもしれません。いろいろな画像を見て、毛束1本1本にこだわって作っていますので、ぜひウィッグをよく見てほしいです。
――ところで、コスプレはいつから始められたんですか?
姫岡さん 本格的ではないものも含めれば、中学1年生ぐらいの頃からやっています。今は21歳で、大学3年生です。
――アニメや漫画は昔からお好きなんですか?
姫岡さん はい、もうずっとアニメが好きです。アニメ自体は小学生のときから好きでした。本格的にアニメを見始めたのは、小学生のときにリアルタイムで見ていた『Free!』が最初かもしれません。
――中学1年生の頃にコスプレデビューされたと言われていました。当時の思い出をお聞かせいただけますか。
姫岡さん 本格的にメイクをし始めたのは高校生になってからなんです。中学のときは、まだメイクもウィッグの技術もわからない状態で『干物妹!うまるちゃん』のうまるちゃんのコスプレをしたんですが、それでもとにかくうれしかったことを覚えています。当時からコミケなどにいるレイヤーさんの写真を見るのが好きで、コスプレへの憧れが強かったので「自分もコスプレできたんだ!」という達成感がありました。
――先日、Xでは、姫野先輩のコスプレ写真を投稿されていました。シリコンバストを加工する前と後のビフォーアフター投稿でしたが、すごくきれいに肌加工されていましたね。
姫岡さん ありがとうございます(笑)。あれは全部自分で加工しました。フォトショップではなく、絵を描くアプリを使っています。元の胸の部分を全部消して、上から描き足しているんです。その作業が一番時間がかかって、2時間ほど集中して描いていました。
――すごい技術ですね。ちなみに、身長が173cmと高いですが、コスプレへの影響はあるんですか?
姫岡さん 小さい頃から背が高くて、そのときはコンプレックスでした。周りの子より背が高いのがすごく嫌だったんです。でも、コスプレを始めてからは、それが「武器」になると気づいたんです。イベントなどで褒めていただくこともすごく多いので、以前は嫌いだった自分の身長が、今では好きになりました。
――コスプレがコンプレックスを武器に変えてくれたと。
姫岡さん そうです。もともと人と関わること自体は好きでしが、友達を作るのが少し苦手で……(笑)。でも、作品が好きという共通点があることで自然に距離が縮まって、気づいたら仲間ができていました。そういう経験を重ねるうちに、自分にも少しずつ自信が持てるようになったと思います。
一一役者、モデルの活動でも自信は大事だと思います。この活動は何をきっかけに始められたんでしょうか。
姫岡さん 高校1年生の夏に転校したことをきっかけに、ダンス部に入ったんです。小さい頃からダンスを習っていたり、子役事務所に所属していた経験もあって、久しぶりに舞台に立ったときに「あぁ、私はやっぱり表現することが好きなんだな」と実感したんです。
その頃に出会った『MANKAI STAGE3!』という2.5次元舞台に物凄く衝撃を受けて「役者」という仕事に強く惹かれるようになりました。正直、当時はまだ将来を真剣に考えていたわけではなくて、実は「記念受験」みたいな気持ちで日本大学芸術学部の演劇学科演技コースを受験したんです。でも、そこで合格をいただいたことが、自分の中で大きな転機になって。好きという感覚が、次第に本気で続けたいという思いに変わっていきました。そこから本格的に、役者としての道を意識し始めた感じです。
一一今後、役者として挑戦したいことは?
姫岡さん 目標は、ずっと憧れてきた2.5次元舞台に出演することです。小さい頃から、舞台というより作られた世界そのものが好きで、映画や小説の中の登場人物たちに惹かれていました。だからこそ、自分も誰かにとっての「物語の中の存在」になりたいと思うようになりました。2.5次元舞台は、現実とフィクションのあいだを生きるような表現ができる場所。いつかその世界に立って、観る人の心に残るキャラクターを演じられるようになりたいです。
ーー今後の活躍が楽しみです。まもなく2025年も終わりますが、今年はどんな1年になりましたか? また、来年はどんな1年にしたいですか?
姫岡さん 今年は、事務所に所属して本格的に活動を始めた、まさにスタートの年でした。大好きなキャラクターのコスプレで、SNSでたくさんの方に見てもらえたことがすごくうれしかったです。でも、同時に絶対に合格したかったオーディションに落ちてしまって、自分の努力がまだまだ足りなかったと痛感しました。
その経験があったからこそ「もっともっと努力しよう」と心から思えるようになった1年でもあります。来年は、コスプレでは自分の好きを大切に、キャラクターの魅力をより深く表現したいです。そして、役者としては、自分としっかり向き合いながら、一つひとつのチャンスを掴めるように、今まで以上に努力を重ねていきたいと思っています。
ー一ありがとうございました。最後に、池ハロに参加した感想をお願いします。
姫岡さん たくさんの方にキャラクターとして見てもらえて、反応をもらえることが本当に励みになりました。一人ひとりの「好き」が集まっている場所に立てたことが、とても幸せで、すごく楽しかったです。同じ作品が好きな人たちと直接関われる空間って、やっぱり特別だなと思いました。また来年も参加できたらうれしいです!
■姫岡ゆきさん公式X
https://x.com/hime__yuki
■「池袋ハロウィンコスプレフェス2025」公式サイト
https://ikebukurocosplay.jp


