平成生まれの女子の心を鷲掴みにし、11月7日には新作一番くじ『一番くじ とっとこハム太郎 〜ハムちゃんず!とっとこ登場なのだ!〜』が発売されるなど、平成のリバイバルブームの影響もあり、今なお絶大な人気コンテンツとして君臨する『とっとこハム太郎』。
2000年より放送されたテレビアニメでは、主人公のハム太郎と飼い主であるロコちゃんとの交流や、「ハムちゃんず」と呼ばれる仲間のハムスターたちと秘密基地で遊ぶなど、楽しく毎日を過ごす様子がほんわかと描かれた。キャッチーな主題歌や、放送形態を変えて長期で放送されていたことから国民的な知名度を得た作品である。
また、2001年から2004年まで上映された映画では、当時絶大な人気を誇ったアイドルグループ「ミニモニ。」がモデルとなり声優も務めた「ミニハムず」や、「モーニング娘。」演じる「モーハムず」も登場するなど、大きな話題を集めた。
原作は、河井リツ子氏による同名の漫画『とっとこハム太郎』。もともとは『小学二年生』(小学館)で連載が開始され、アニメ化以前は『とってもハム太郎』というタイトルだったことはあまり知られていないだろう。
加えて、同作にはハム太郎ファンの中でもあまり知られていない“物語の根幹に関わるさらなる事実”がある。それは、原作の漫画・絵本において「ハム太郎」は特定の1匹を指す名前ではないということだ。
「ハム太郎」というのは、作品に登場する複数のハムスターたちの名前であり、その設定はパラレルワールドというわけでもない。シリーズに登場する多くの「ハム太郎」は、個体も違えば、それぞれ飼い主や環境も全く異なるのである。
今回は、アニメで我々がよく知る「ハム太郎」以外に存在していた“幻のハム太郎たち”を紹介したい。
※本記事には作品の内容を含みます
■実はたくさんいる!原作のハム太郎たち
まずは、ゆかりちゃんに飼われている1作目のハム太郎(元祖・ハム太郎)である。
このハム太郎は、小太郎と花子の間に生まれた8匹兄弟の1匹であり、彼が主人公を務めた『とっとこハム太郎』『とっとこハム太郎 その2でちゅ』では、他の作品よりもやや本物のハムスターに近いリアルなタッチで描かれているのが特徴である。また、このハム太郎は人間の言葉を理解できない点も、アニメ版のハム太郎とは大きく違うポイントだ。
次に、前述した元祖ハム太郎と、ももとの間に生まれたハム太郎が存在する。彼にはあわせて12人の兄弟がいて、ひまわりの花を探す旅に出るという物語が描かれた。
さらに、そのハム太郎のはるか未来の子孫にあたる、西暦2086年に生息するハム太郎もいる。
続いて紹介するのは、元祖ハム太郎の子どもであるハム助と、だんごの間に生まれたハム太郎。彼は、あっくんのおじいさんが経営するペットショップで暮らす12匹の「ハムちゃんず」の一員という設定だ。このハム太郎こそがアニメ版の原型であり、この作品ではお馴染みの「ハムちゃんず」が登場するのも嬉しいポイントである。
ただし、この原作エピソードでは、アニメでのハム太郎の飼い主・ロコちゃんが登場しない。そのため、アニメの最後で毎度お馴染みの「今日はとっても楽しかったね。明日はもっと楽しくなるよ。ね、ハム太郎!」というセリフは、実は原作には存在しないのである。


