
ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)といえば、杉下右京と亀山薫のコンビネーションが魅力のひとつだ。右京の天才的な推理はもちろん、彼に振り回される薫の姿もまた視聴者を楽しませてくれる。そんな薫は、シリーズを通じて何かと“巻き込まれがち”な不憫キャラとしても知られている。
人質になったり、容疑者になったり、だまされたり……と、まさに不運続きの薫。もはや、“事件に巻き込まれる男”と称しても過言ではない。今回は、そんな彼のこれまでの不憫エピソードの数々を振り返っていこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■特命係配属のきっかけにも?人質になりがちな亀山
薫には“人質になりがち”なイメージがあるかもしれない。それもそのはず、彼が特命係になったきっかけ自体が人質事件だったのだ。
記念すべきpre season第1話で、薫は指名手配犯を捕まえようとしたところ、逆に人質となる。おまけにその様子はテレビで中継されてしまい、薫は“史上稀に見る大失態”を犯したとして、「警視庁の陸の孤島」「人材の墓場」といわれる特命係に左遷されてしまった。
さらに、連続ドラマの幕開けとなるseason1第1話「警視総監室にダイナマイト男が乱入!刑事が人質に!?犯罪の影に女あり…」では、冒頭から爆弾魔に人質にされ、ともに警視総監室に籠城する羽目になる。またもやその様子は全国ニュースで報じられるなど、相変わらずの不運ぶりを発揮した。
救出に来た右京にも、「君は、思い出したように人騒がせを起こしますねぇ」と嫌味を言われる始末だ。
その後も、season2第12話 「クイズ王」では公園で右京とともに犯人のターゲットにされ、season4第8話 「監禁」では危険な女・進藤ミサエに監禁され、暗号解読を強要される。
特に「監禁」のエピソードでは、重傷を負う事態にまで陥る。薫は右京が自分を発見してくれるのを待って時間を稼ぐが、ミサエは何人もの人間を殺してきた凶悪犯だった。携帯を破壊され、足もハンマーで折られ、最後は薬物を大量に打たれそうになったところを危うく右京に救出されるという、まさに最悪の1日を送った。
薫が人質になってしまう背景には、彼が刑事として知能派ではなく肉体派であると自認している点が挙げられる。実際、「監禁」ではミサエに対して「俺は体力方面の担当」と語っており、そうした油断も人質になる隙を生んでいるのかもしれない。
■単純な性格が仇に?容疑者になってしまう薫
薫は人質になるだけでなく、殺人事件などの容疑者になることもある。先に挙げたpre season第1話でも早々に、人殺しの容疑をかけられてしまっていた。
やけ酒を飲んで意識を失い、目を覚ますと刺殺体と同じ部屋にいたという最悪の状況。特命係に左遷された矢先に今度は殺人事件の容疑者とは、その不運ぶりはさすがとしか言いようがない。
5代目相棒として復帰した後の薫も、不憫なエピソードには事欠かない。復帰早々のseason21第3話 「逃亡者 亀山薫」では、そのタイトル通り、殺人現場での目撃情報から警察に追われる羽目になる。
この時の薫は容疑をかけられながらも、逃走を続けながらも真実を追った。この“巻き込まれ体質”ともいうべき薫の立ち位置は、サルウィンから帰ってきても変わっていなかった。
33人の「亀山薫」を集めたパーティが舞台のseason23第11話 「33人の亀山薫」 でも、「亀山薫」が殺され、32人の「亀山薫」とともに容疑者になってしまう。被害者も容疑者も「亀山薫」というシュールすぎる展開だが、当然のごとく薫自身も事情聴取を受けることになった。
薫が容疑者になるのは、彼の“事件を呼ぶ”不運な体質のせいだろう。刑事としては優秀だが、やや迂闊な部分があるためにこうした事態を招いてしまっているのかもしれない。しかし、こうした面こそが薫の魅力でもあり、今後も彼が窮地に陥るところを見てみたいという気持ちはある。