
『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』に象徴されるように、かつて『週刊少年ジャンプ』といえば「友情・努力・勝利」を掲げた明るく王道のストーリーが主流であった。仲間と力を合わせて強敵を倒し、努力が実を結んで勝利を掴む――そうした単純明快で前向きな物語が、長年『ジャンプ』の看板を支えてきた。
しかし、近年の漫画・アニメ界で圧倒的な話題を集めているジャンプ漫画といえば、『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『チェンソーマン』といったアングラ的でダークな世界観を持つ作品群である。
7月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、公開73日間で興行収入350億円を突破。9月公開の『チェンソーマン レゼ篇』も公開15日間で35億8000万円を超えるなど、その勢いはとどまるところを知らない。また『呪術廻戦』は2026年1月からテレビアニメ第3期「死滅回游 前編」の放送を控えている。3作はいずれも次なる展開を前にしており、ファンの熱気は一層高まっていきそうだ。
※本記事には各作品の内容を含みます
■多くのファンを熱狂させる『鬼滅の刃』『チェンソーマン』『呪術廻戦』
あらためてそれぞれのストーリーを振り返ってみると――。
『鬼滅の刃』は鬼殺隊と鬼との戦いを軸に、主人公・竈門炭治郎が鬼にされた妹・竈門禰󠄀豆子を人間に戻すため戦いに身を投じる物語だ。王道の勧善懲悪を土台としつつも、仲間が容赦なく死に、過酷な現実が突きつけられる展開は従来の少年漫画に比べて重苦しい。それでも、キャラクターの魅力や丁寧な心理描写、映像化における圧倒的な演出力などが幅広い世代に支持されている。
すでに「無限城編」の第二章、第三章の公開も決定しており、ラスボス・鬼舞辻無惨との最終決戦が描かれるとなれば、興行収入がどこまで伸びるか予測もつかない。
一方、『チェンソーマン』は公安対魔特異4課のデビルハンター・デンジを主人公にした物語。彼は心臓に「チェンソーの悪魔」ポチタを宿し、悪魔と戦う力を得るが、彼が生きる世界はあまりに残酷で虚無的だ。日常の小さな幸福を求めるデンジの姿と、無慈悲に訪れる死や裏切りの数々が強烈なコントラストを生み出す。
「レゼ篇」を経て、原作では銃の悪魔との最終決戦、さらには真の敵との対峙も残されており、アニメ化や映画化されれば盛り上がるのは間違いない。
『呪術廻戦』は、呪術高専に所属する呪術師たちと呪霊との戦いを描いた現代バトルファンタジー。主人公・虎杖悠仁が呪いの王・両面宿儺の器となり、五条悟や伏黒恵、釘崎野薔薇といった仲間とともに非情な戦いに巻き込まれていく。中でも「渋谷事変」は圧倒的な絶望感に満ちた展開で、五条の封印や人気キャラクターの退場など衝撃の連続がファンを熱狂させた。
2026年から放送される「死滅回游」編では新たな強者たちとの戦いが本格化するが、その先に待つ最終決戦は映像映えすること必至である。