■それまでの敵とはレベルが違った…『GANTZ』ぬらりひょん

 奥浩哉さんによる『GANTZ』(集英社)は、「星人」と呼ばれる存在と戦うSFバトル漫画である。星人の強さは個体によってさまざまで、主人公の玄野たちがギリギリ勝てる戦いが毎回展開されていた。しかし、それを一気に覆したのが「OSAKA編」に登場したぬらりひょんだ。

 ぬらりひょんは何度倒されても再生を繰り返し、相手の攻撃や武器を見てどんどん対応していくので、ガンツのメンバーは次々と死んでいくことになった。「いつになったら戦いが終わるの?」というのが正直な感想で、先が見えず絶望させられる……。

 大阪のガンツメンバーはほぼ全滅、自衛隊や一般人も多数死亡し、街は破壊しつくされてしまったところからも、ラストバトルと勘違いしてしまったほどだった。

■まさに悪のカリスマ!『BLEACH』藍染惣右介

 久保帯人さんによる『BLEACH』(集英社)は、「千年血戦篇」のアニメ化もあって再び注目を集める人気作だ。本作のラスボスはユーハバッハだが、それ以前にラスボスとなり得た存在もいた……それが藍染惣右介である。

 藍染は悪のカリスマと呼ぶに相応しい見た目、知性、強さ、名言をすべて兼ね備えたキャラである。何が起きても予想範囲なのかと思えるほど、常に冷静沈着でいる姿も印象的だ。そんな藍染が崩玉を手に入れ、ケタ外れの力を手に入れた時は、「絶対に誰も勝てないだろう」と思わせられるような絶望感があった。隊長を複数人相手にしても瞬殺していたうえ、内側から毒で破壊されてもすぐに再生していたからだ。

 最終的には、一護が死神の力を犠牲に「最後の月牙天衝」を決め、藍染に勝利。このときのすべてを投げうった一護の戦いは、ラストバトルと言われても信じてしまいそうなくらいだった。

 

 ラスボスになり得たであろう敵キャラには、何度も見返したくなる魅力がある。どうやって倒せばいいのか分からないほど強いからこそ、緊張感は高まり、ついに勝利をおさめたときの感動もひとしおだ。そのキャラの印象が強すぎて、真のラスボスの存在が霞んでしまうケースがあることは否めない。

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