2024年の春アニメが続々と放送開始となった。今期は『鬼滅の刃 柱稽古編』『この素晴らしい世界に祝福を!』『転生したらスライムだった件』など、既存アニメの新シーズンの作品が多い。初アニメ化の注目作としては、『少年ジャンプ+』で連載中の松本直也氏の漫画を原作とした『怪獣8号』などのタイトルが挙げられ、ここから社会現象になるヒット作が生まれる可能性もある。数十タイトルもあるアニメの中からどの作品を見るべきか、アニメファンは頭を悩ませる時期だろう。
ところで、今からちょうど10年前となる2014年の春もアニメ豊作の時代で、注目作・期待作があふれていた。
■10周年で盛り上がりを見せるアニメ『ハイキュー!!』
たとえば、2月16日に最新映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が公開となったアニメ『ハイキュー!!』。その記念すべきアニメ1期も2014年春スタートの作品だった。
『ハイキュー!!』は、2012年から2020年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載していた古舘春一氏による漫画を原作とした、高校バレーを題材にした青春アニメ。主人公・日向翔陽が「小さな巨人」を目指し、仲間とともに切磋琢磨し成長する姿が描かれる。
リアルな試合描写やしっかりとしたストーリーが高く評価され、2014年4月6日のアニメ開始からこれまで4期にわたってアニメ化されており、今回の映画は2020年に放送されたテレビアニメ4期『ハイキュー!!TO THE TOP』の続編となる。アニメ10周年のタイミングも重なり、大きな盛り上がりを見せている。
『ハイキュー!!』は原作連載時から女性ファンを中心に大人気だっただけに、アニメ化によりますますファンを増やした印象だ。特に2014年春アニメには、ライバルとなるスポーツものが少なかったのも人気の原因のひとつかもしれない。
一方、荒木飛呂彦氏による漫画を原作としたアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』第3部「スターダストクルセイダース」も2014年の春アニメだ。
アニメシリーズは2012年にスタートしたが、『ジョジョ』の代名詞ともいえるスタンドの概念が初めて登場したのがこの第3部。ファンからカリスマ的人気のある空条承太郎が主人公で、母を救うため、第1部からの宿敵・DIOを倒しに仲間と共にエジプトを目指すというストーリーだ。
『週刊少年ジャンプ』で第3部が連載されていたのは1989年から1992年。当時を知らない若い層もアニメをきっかけに『ジョジョ』にハマった。
また、『ジョジョ』アニメの醍醐味といえば、物語の後半になると変わるオープニング映像の演出。DIOのスタンドであるザ・ワールドの時を止める演出は、秒数も設定通りで初めて見たときは鳥肌ものだった。
このほかにも、ボカロ世代を中心に人気を集めた『メカクシティアクターズ』も2014年の春アニメ。これはマルチクリエイター「じん」が始めた「カゲロウプロジェクト」 の一環で、ボーカロイドを使用した人気楽曲で描かれる物語を題材としたアニメ作品だ。
不思議な「目」にまつわる能力を持つメカクシ団のメンバーが事件の謎を解いていくという群像劇で、心くすぐられる世界観が中高生を中心に爆発的な人気を獲得した。エンディング曲が複数用意されており、ファンにとってはおなじみの曲が週替わりで使用されている。
この時期はライトノベル原作の作品も勢いがあり、榎宮祐氏の小説を原作とした『ノーゲーム・ノーライフ』や、佐島勤氏の小説を原作とした『魔法科高校の劣等生』などもヒット作品となった。
あらためて見てみると、「放送からもう10年経ったの!?」と驚いてしまう作品も多い。懐かしさを感じながらあらためてイチからアニメを見直すのも楽しいだろう。