『むこうぶち』に『天』に『アカギ』漫画実写化の超人気ジャンル「麻雀漫画映画」で鬼才演じた俳優たちの画像
近代麻雀コミックス『むこうぶち 高レート裏麻雀列伝』(竹書房)

 今秋から放送中のドラマでも『パリピ孔明』に『セクシー田中さん』に『きのう何食べた?』など、漫画を原作とした実写化作品が人気だ。

 Netflixでも8月より配信が始まった『ONE PIECE』や12月より配信が始まる『幽☆遊☆白書』など、あっと驚くような実写化企画が多数実現しているが、VHS時代からレンタルビデオ店で人気だったジャンルのひとつが「麻雀漫画」の実写化もの。

 清水健太郎さん主演の『雀鬼』シリーズが人気を集める中、1990年代には能條純一さんの『哭きの竜』や、かわぐちかいじさんの『雀鬼伝説 蒼き狼たち』(原作・吉田幸彦さん)、伊藤誠さんの『兎-野性の闘牌-』などの麻雀漫画が数多く実写化されていった。

 麻雀を覚えたての学生時代や社会人になったばかりの頃、これらの主人公たちを見てヒリヒリしながら打ち筋などを学んだという人も多いはず。今回は過去の麻雀漫画の実写化作品で、迫力の演技を見せていた俳優たちを振り返りたいと思う。

■袴田吉彦さんによる『むこうぶち』

 まずは天獅子悦也さんによる漫画『むこうぶち 高レート裏麻雀列伝』(竹書房)の実写版。1999年から『近代麻雀オリジナル』で連載が開始され、現在も『近代麻雀』で連載中の同作は、1980年代の高レート麻雀をテーマに、主人公・傀(カイ)が各所の賭場を荒らし回るというストーリーだ。

 傀は、対戦相手の癖や心理を読むことで、場を支配する死神のような打ち手である。全身黒ずくめスタイルに鋭い目つきを光らせ、無口で何を考えているのか分からない……。そして最後は「御無礼」と言って勝負を終わらせる、ミステリアスな麻雀ヒーローだ。

 同作は2007年より『高レート裏麻雀列伝 むこうぶち』のタイトルでオリジナルビデオ化されており、主人公・傀を袴田吉彦さんが演じている。袴田さんといえば、バラエティやドラマにたくさん出演し、個人的には明るくイジられるような役が多いと思っていた。しかし傀を演じたときは、勝負師の持つ緊張感や相手を徹底的に叩きのめす冷酷さを見せる。その演技や表情がとても魅力的なのだ。

 同作はこれまで16作にわたってシリーズ化されており、欠かせないキャラである安永を元プロレスラーの髙田延彦さんが演じ、ホステスの詩織を及川奈央さんが演じている。また加勢大周さんや風間トオルさんなど、毎回ゲスト雀士役の俳優も豪華。彼らがどんな演技をして、どんな闘牌をするのかが気になり、つい見入ってしまう作品だ。

■倉田てつをさんと坂上忍さんによる『ナルミ』

 続いては作画:柳澤一明さん、原案:土井泰昭さんによる麻雀漫画『ナルミ』(竹書房)。1990年から1996年にかけて『近代麻雀オリジナル』で連載された同作は、主人公・ナルミが仲間数名とともに「ナルミ組」を立ち上げて、他の対抗組織と麻雀勝負を繰り広げていくヤクザ×麻雀漫画。

 そんなナルミを演じた俳優が二人いる。それが『仮面ライダーBLACK』『仮面ライダーBLACK RX』で主人公・南光太郎役を務めた倉田てつをさんと、坂上忍さんだ。倉田さんは『RX』から約5年後、1993年にオリジナルビデオ『修羅の雀士 ナルミ』でナルミを演じていたので、「仮面ライダーが雀士になっている!」と、当時そのギャップに驚いてしまった。

 坂上さんは現在はバラエティ番組に多数出演しており、もともとが俳優ということすら知らない若い人もいるかもしれないが、『修羅の雀士 ナルミ2』でナルミを好演。大の麻雀好きである坂上さんだからこその迫力ある演技を見せている。

『ナルミ』は他麻雀漫画とは違い、ヤクザ同士の抗争なども描かれるかなり血なまぐさい作品でもある。そのため実写版も闘牌以外での演技が必要とされる。倉田さんと坂上さんにピッタリな役と言えるだろう。同作はシリーズ化されず、実写版もわずか2作のみ。30年前の作品なので、もう一度見返してみたい。

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