こんな人も出てた? 後から知ってビックリだった!子どもたちが楽しんだ懐かしの「児童向け実写ドラマ」の画像
『魔法少女ちゅうかないぱねま!』

 昭和の子どもにとっての夏休みといえば、プールや虫取りといった外遊びの他に、居間で扇風機を回しながら見ていた子ども番組も思い出のひとつだ。なかでも、30分枠の「児童向け実写ドラマ」には思いがけない有名人が出演しており、後から知って驚くことが多々ある。

 たとえば、司会やタレントとして活躍中の島崎和歌子さんは、1989年に初主演した『魔法少女ちゅうかないぱねま!』に出演。同作が出世作となり、女児からの熱烈な人気とお茶の間からの知名度を得たという。そこで今回は、意外な人物も出演していた懐かしの児童向け実写ドラマをふり返ってみたい。

■スーパー銭湯のアイドルは元ガキ大将?

 4人組男性グループ「純烈」は、2007年に結成したムード歌謡グループだ。メンバーは「元戦隊ヒーロー俳優」中心で結成されており、 たとえば、白川裕二郎さんは『忍風戦隊ハリケンジャー』のカブトライジャー(霞一甲)役、2023年に新メンバーとして加入した岩永洋昭さんは『仮面ライダーオーズ/OOO』で仮面ライダーバース(伊達明)役として今とは違った活躍を見せていた。

 リーダー・酒井一圭さんも2001年に『百獣戦隊ガオレンジャー』でガオブラック(牛込草太郎)として出演していたが、実は1985年のテレビドラマ『逆転あばれはっちゃく』で5代目「はっちゃく」役を務めていたのだ。

 本作は児童書『あばれはっちゃく』を原作とした人気シリーズのひとつで、はっちゃくこと桜間長太郎が抜群の「ひらめき」で数々の困難を解決する痛快ドラマ。ひらめく際の座禅や逆立ち、さらに決めセリフでもある「ひらめいた!」は多くの子どもが真似をするほどの人気ぶり。当時9歳だった酒井さんも子どもたちのヒーローはっちゃくに憧れ、番組オーデションを受け主演を勝ち取ったそうだ。

■あんなところに昭和のイケメン俳優が

 毒舌で知られる坂上忍さんの芸歴は長く、幼い頃より天才子役として活躍していた。そんな坂上さんが11歳で初主演を射止めたのが、1978年に放送された『ふしぎ犬トントン』だ。

 犬の姿をした宇宙人・トントンと泣き虫な少年タローが、周囲を巻き込みながらちょっと不思議な日常を体験するハートフルコメディ。このドラマで共演した犬のトントンこと“エアデール・テリア”との出会いを切っ掛けに、坂上さんは芸能界でも指折りの愛犬家になったという。

 ハンサム繋がりではもう一人。1969年に実写ドラマ化された『柔道一直線』では、桜木健一さん演じる一条直也の必殺技「地獄車」が有名だが、それ以上に私たちの心をつかんで離さないのが「ピアノを足で弾く」シーンであろう。

 一条は柔道部を辞めたライバル・結城真吾を連れ戻そうと説得するも、自分を無視してピアノを弾く結城に憤慨。そんな一条の様子に結城は突如ピアノの鍵盤の上に飛び乗ると、足の指先だけで軽快に「ねこふんじゃった」を弾いてみせるのだ。この結城を演じたことで人気となった俳優が、片岡鶴太郎さんのモノマネ「近藤ーです!」で知られる近藤正臣さんだった。

 また、当時「王子さま」と呼ばれた川﨑麻世さんは、14歳のときにテレビドラマ『怪人二十面相』(1977年)で小林芳男役を担当。本作で特筆すべきは明智と子どもたちが探偵と少年団の関係ではなく、塾講師とそこに通う生徒に改変されたことである。この時代はちょうど「教育ママ」という言葉が浸透し始め、児童向けドラマにもそんな日本の世相が反映されていたのかもしれない。

■探偵モノには有名人がいっぱい

 1988年放映の『じゃあまん探偵団 魔隣組』は、前作『おもいっきり探偵団 覇悪怒組』に続く探偵団シリーズ。仲良し5人組が「魔隣組」を結成し、大怪盗ジゴマと対決する物語だ。本作の主人公・辻タカシの伯父であるシャーロックおじさんこと辻雄一は、推理小説家になる前はハイテク分野で天才科学者の経歴を持つ謎多き人物。そんな彼を演じたのが『渡辺篤史の建もの探訪』でお馴染みの渡辺篤史さんだった。さらに前作に続き、WAHAHA本舗の柴田理恵さんも強烈なキャラで出演している。

 1970年代はアイドル戦国時代の幕開けともいわれているが、当時人気の女性アイドルたちが文字通りW主演していたのが『少女探偵スーパーW』(1979年)だ。

 同作は地球人の探偵少女・遠山プンチを大場久美子さん、変身能力を持つ宇宙人少女・ポンチを榊原郁恵さんが担当した推理バラエティ。子どもでも分かりやすいトリックや口ずさみやすい主題歌も魅力だが、ポンチこと榊原さんが毎週違った姿に「変身(変装)」するのも楽しみのひとつだった。

■声と演技で魅せた声優さん

 1974年から放映された『がんばれ!!ロボコン』は、ドジなロボット・ロボコンの奮闘を描いた特撮コメディ。とはいえ、その頑張りは空回してばかりのため、ガンツ先生からいつも「ロボコン0点」と低い評価をされもどかしかった。

 そんなロボコンが住み込む大山家のママこと大山初江役が『サザエさん』で知られる加藤みどりさん。もともと加藤さんは松竹歌劇団の養成所に通っていた女優で、同期に倍賞千恵子さんがいるそうだ。

 アニメ『うる星やつら』のラム役で知られる平野文さんも、NHKの児童向けドラマ『名探偵カッチン(1967年)』に出演していた。シャーロック・ホームズに憧れる主人公カッチンが2人の仲間と事件を解決する物語で、そのなかの紅一点こと花屋の可愛い娘「チコタン」が子役時代の平野さんだ。

 また、特撮ファンならばご存じの方も多いと思うが『タッチ』の浅倉南の声優・日髙のり子さんは、スーパー戦隊シリーズ第3作目『バトルフィーバーJ』で隊員役としてレギュラー出演していた。当時は伊東範子名義で活躍しており、後に監督からバク転の練習をさせられたエピソードなども語っている。

 特撮ヒーローなどをのぞいて、近年は児童向けの特撮ドラマがめっきり減ってしまい少々寂しい気がする。だが、子どものころハラハラやドキドキが詰まったあの30分間は、大人になった今でも私たちの大切な思い出として残り続けているだろう。