フォーゼ、ディケイド、エグゼイド…最初は「奇抜なデザインに戸惑った」平成仮面ライダーたちの画像
仮面ライダーフォーゼVOL.1(DVD)(C)2011 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
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 1971年に放送スタートした初代『仮面ライダー』から現在に至るまで、50年以上にもわたって連綿と続いている『仮面ライダー』シリーズ。元々はバッタをモチーフにしていた仮面ライダー1号・2号をはじめ生物的なデザインの仮面ライダーが基本だったが、平成以降のシリーズではそれにとらわれないデザインを取り入れることも増えてきた。

 毎年、次のライダーの新しいデザインが公開されるたびに、ファンの間でも「これはライダーとしてアリなのか?」といった話題で盛り上がるのもある意味では風物詩となっている。

 しかし、最初は「変わったデザイン」と思っていても、いざ新番組が始まってライダー動くのを見てみると「カッコいいじゃないか!」と感想が180度変わっていくのも不思議。今回は、そんな一風変わったデザインが採用されたライダーを3人ピックアップしてみよう。

■宇宙モチーフのレトロフューチャー感がクセになる仮面ライダーフォーゼ

 まずは『仮面ライダーフォーゼ』(2011~12年)の主役ライダー、「仮面ライダーフォーゼ」だ。通常フォームの「ベースステイツ」は、なんだか全体的にモコモコした印象を受けるし、頭部も独特な尖った形状をしている。

 そんなフォーゼの姿を見て、初見では全体的になんとも奇抜なデザインだと思ったものだ。しかし、作品そのもののコンセプトから考えると、どれもちゃんと理由のあるものであることがわかる。『仮面ライダーフォーゼ』は「宇宙」をモチーフにした作品だったからだ。フォーゼの白いスーツは宇宙服を模したものだし、頭部の形状もよく見ればロケットを彷彿とさせる。

「エレキステイツ」「ファイヤーステイツ」「マグネットステイツ」といったバリエーションもまた個性的だったが、なんといっても最終フォームである「コズミックステイツ」のデザインがイカしていた。スーツの色は目の覚めるようなメタリックブルーになり、メインウエポンの「バリズンソード」は、スペースシャトルをそのまま持っているような豪快なデザインとなっている。肩のアーマーは昔のSFに出てくる戦闘機の翼のようなデザインで、ちょっとレトロな味わいも感じさせる。

 フォーゼとともに戦う「仮面ライダーメテオ」も、流星をモチーフにした頭部に、漆黒の宇宙ときらめく星をイメージした黒いスーツのコントラストが印象的だった。作品全体のデザインイメージをレトロフューチャーなテイストに統一した『仮面ライダーフォーゼ』は、話数を重ねるごとにカッコよく感じるようになった典型と言えるだろう。

■鮮烈なカラーリングに左右非対称のデザインがマッチした仮面ライダーディケイド

 平成仮面ライダーシリーズ10周年作品の『仮面ライダーディケイド』(2009年)の主役ライダー「仮面ライダーディケイド」も、なかなかに奇抜なデザインだ。『仮面ライダーカブト』(2006~07年)に登場した仮面ライダードレイクなどいくつかの例外はあるにせよ、それまではシンメトリーなデザインが仮面ライダーの基本だったが、仮面ライダーディケイドで一番目を引くのは左右非対称な胸のライン。メインカラーも鮮やかなマゼンタで、全体としてかなり「攻めた」デザインになっている。

 しかしこれが、動いているところを見るとド派手なビジュアルとスマートな殺陣がマッチしてなんともカッコいいのだ。加えて、「10年に一度のお祭り」としてそれまでの平成仮面ライダーシリーズがクロスオーバーし、各作品に登場するライダーに変身(カメンライド)できるオールマイティーさもディケイドの魅力だった。

 そして、最終フォームである「コンプリートフォーム」が登場すると、さらに視聴者を驚かせることとなった。歴代平成ライダーのカードが、肩から胸にかけてズラッと並んでいるのである。これには10年間で平成ライダーに見慣れてきたファンにも大きな衝撃を与えた。

 しかし、そんな攻めすぎたデザインに対して巻き起こる賛否両論は、むしろ平成ライダーらしさを感じさせる。そう考えると、平成仮面ライダーシリーズ10周年作品の象徴としては、むしろ正統派なのかもしれない。

■シリアスなストーリーとは対照的にコミカルなビジュアルだった仮面ライダーエグゼイド

 最後は『仮面ライダーエグゼイド』(2016~17年)の主役ライダー「仮面ライダーエグゼイド」だ。平成仮面ライダーシリーズとしてはかなり後期の18作品目となるが、その中でも最高級に突飛なデザインだと言えるだろう。

 それまでは、毎年それなりに新機軸のデザインコンセプトを取り入れていたとはいえ、やはりどこかしら“仮面ライダーらしい”面影があったものだったが、仮面ライダーエグゼイドには、それらしい部分がほとんど見当たらない。

 しかし、「仮面ライダー」という先入観を排して見てみると、新鮮で良質なデザインである。全体的に明るく賑やかな印象を受けるピンクを基調にしたビビッドなカラーリングで、ツンツンに尖った髪型とSDガンダムを思わせるような目玉が特徴的だ。

 さらに、仮面ライダーエグゼイドのレベル1形態も、まるで「ゆるキャラ」のような3頭身になっていてコミカルな味を醸し出している。

 そんなビジュアルとは対照的に、主人公が研修医で病院を舞台にしたドラマ部分はシリアスでシビアなテーマをストーリーに組み込んでいて、大人の視聴者にも見応えのあるものとなっていたのが面白い。

 

 まるでデザインの実験場のように、毎年何かしら新たな試みを盛り込んだデザインを打ち出してくる『仮面ライダー』シリーズ。それは令和になっても変わらない。9月3日から放送スタートする『仮面ライダーガッチャード』でも、「錬金術」をテーマにどんな飛躍を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がない。

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