ジオン軍のモビルスーツといえば、ザク、グフ、ドムに代表されるような、ちょっと強面で連邦軍とはまた違った独特のカッコよさがある。また、ネオ・ジオン軍のキュベレイなどは、その強面な感じにスタイリッシュさも加わりイケメン的カッコよさがあった。しかし、そんなジオン軍系のカッコいいモビルスーツの中には、巷でかわいいと評判のモビルスーツもいる。
そこで今回は、 よく見るとかわいいジオン軍モビルスーツ3機を紹介する。それでは、見せてもらおうか、ジオン軍のモビルスーツの可愛さとやらを。
■元祖かわいいモビルスーツ「アッガイ」
まずは、型式番号MSM-04、一年戦争時のジオン軍の量産型水陸両用モビルスーツである「アッガイ」を紹介したい。ガンダムやザクと比べると、全体的に丸みを帯び頭部も大きく、かなりずんぐりとした見た目をしている。湿地帯での迷彩効果に優れるダークブラウン系に塗装されていることも相まってか、どこかクマさんぽい。
そんなアッガイは『機動戦士ガンダム』第30話「小さな防衛線」で初登場を果たした。シャアのズゴックとともにアカハナら特殊部隊の4機がジャブローへ潜入、しかし失敗。逃げるアッガイ4機すべてがガンダムに瞬殺されるという、少し残念な印象だった。しかし『機動戦士ガンダムZZ』40話「タイガーバウムの夢」ではあのハマーン・カーンが搭乗し、(パイロットの腕を差し引いても)なかなかの強さを見せていたりもする。
かわいいモビルスーツとして認知されたのは意外にも古く、劇場版第2作『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』のパンフレット裏表紙にある、安彦良和氏のイラスト「小さな防衛線」での、体育座りポーズのアッガイが描かれている。
その後、ガンダムのパロディ作品やゲームにも登場し、いじられキャラとして定着。『ガンダムビルドシリーズ』ではテディベアを思わせる「ベアッガイ」の素体として扱われ、現在の癒しキャラ・萌えキャラの地位を確立した。
■30年ぶりの復活!「ジュアッグ」
次に、型式番号MSM-04G、ジュアッグを紹介する。型番からもわかるように、先ほど紹介したアッガイを転用し開発された一機で、象さんの鼻のような排熱ダクトが特徴である。また背中についたバックパックは、大きな小学生がランドセルを背負っているようにも見えてかわいい。水陸両用機ではあるものの、水中航行が一応できる程度で、実はそれほど得意ではないところもお茶目である。
ジュアッグはアニメ『機動戦士ガンダム』のジャブロー編で登場する予定だったとされるが、結局は未登場のまま終了している。しかし、刻を越え『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』10話「灼熱の大地から」に登場。ダカール市街地でジムIIとネモを撃破し、最終的にはジムIIのバズーカで沈められた。中距離支援型かつ作中の時代ではかなり古い機体のはずなのだが、なかなかの格闘戦を見せている。
さらに『機動戦士ガンダムUC』での登場を受け、ガンプラでは2012年に30年ぶりの完全リニューアルを遂げたジュアッグが発売された。
■丸い形状が愛くるしい「カプール」
最後に紹介するのがカプール、型式番号AMX-109。こちらはネオ・ジオン軍の水陸両用モビルスーツだが、水流抵抗を減らすために設計された丸い機体形状がかわいい。また、前述のアッガイやジュアッグはブラウンを基調としていたが、カプールはブルーのカラーリングで爽やかな印象がある。
アニメ『機動戦士ガンダムZZ』第24話「南海に咲く兄弟愛」にて、ザク・マリナー部隊の隊長が、その後に現地の漁師の少年タマンがカプールに搭乗している。そこでは目立った戦績は残せなかったものの、水上に青く丸い機体を持ち上げて航行する姿がなんだかかわいかった。
さらに『∀ガンダム』においては、黒歴史の遺物として掘り起こされ、「カプル」として登場。レギュラー機体として活躍している。サイズの違いなど謎な部分はあるが、カプールか同系統の機体として見ていいだろう。一年戦争から数千年後である『∀ガンダム』時代では、水陸両用機とは気づかれず陸戦兵器として運用されているのも面白い。
その後『ガンダムビルドダイバーズ』では『∀ガンダム』のカプルをベースにした「モモカプル」が登場。ペンギンモチーフで内部に小型のプチカプルを搭載するなど、とことん可愛さを追求したガンプラだった。
今回は、よく見るとかわいいと好評なジオン軍モビルスーツということで、隠れた人気者3機体を紹介した。くしくも紹介した3機すべてが水陸両用モビルスーツとなったが、ジオン軍の水陸両用機はかわいくなりがちなのだろうか。
またどの機体も、パロディやゲームでも頻繁に登場するなど、ファンのみならず、製作サイドにも非常に愛されているのがわかった。これからもかわいいを武器に活躍が期待されるモビルスーツたちだ。