『ドラゴンボール大魔王復活』35周年、久々にプレイすると“鬼難易度”だったファミコンの傑作を振り返る!の画像
ファミコン用ソフト『ドラゴンボール 大魔王復活』(編集部撮影)
全ての写真を見る

 1988年に発売されたファミリーコンピュータ用ゲーム『ドラゴンボール 大魔王復活』が、2023年8月12日で35周年を迎えた。漫画『ドラゴンボール』を原作としたゲームとしては、『ドラゴンボール 神龍の謎』に続く第2作目となるタイトルで、『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』(1990年)や『ドラゴンボールZII 激神フリーザ!!』(1991年)へと引き継がれるカードバトルの基礎を作った名作。

 筆者は子どもの頃に本作をプレイしたことがあるが、内容をあまり覚えていなかったため、今回あらためてプレイしてみた。現代の親切なゲームに慣れている人にとってはかなり“鬼難易度”な『大魔王復活』の魅力を紹介したい。

■溺れたり落下したり…あっという間に死んでしまう悟空

 現代では『DARK SOULS』や『ELDEN RING』を代表とする「死にゲー」と呼ばれるジャンルが人気を博しているが、ファミコン時代はアクションゲームでもRPGでも難易度が非常に高く、何度もゲームオーバーとなるゲームは珍しくなかった。1988年に発売された本作もそのうちのひとつで、悟空がとにかくすぐに死んでしまう。

 パッケージにも描かれている通り、幼少期の悟空を主人公に、復活したピッコロ大魔王たちとの戦いを描く本作。基本的にはボードゲームのパートとアドベンチャーパートの2つのパートで物語を進めていくが、アドベンチャーパートの選択肢を間違えると即ゲームオーバーとなる。しかも、初見殺しの選択肢が多いから厄介なのだ。

 たとえば、扉を壊すためにかめはめ波を放ったら水があふれて溺死する。さらに高所から落下死、がれきに潰されて圧死、毒リンゴを食べて毒死など、多彩なバリエーションで死んでしまう。

 漫画『ドラゴンボール』でも主人公側のキャラクターは何度も死んで生き返っているが、まさかジャンプ史上でも最強クラスの戦士が、こんなにあっさり死ぬとはなかなか衝撃的なグラフィックだ。

■迷ったら最後?ダンジョンが本当に迷宮すぎる

 アドベンチャーパートではキャラとの会話だけではなく、ダンジョンに突入することがある。本作のダンジョンはいわゆるダンジョンRPGの形式で、東西南北や前後左右の方向を指定して探索するタイプ。背景の変化も少ないので、自分の位置がすぐに分からなくなる。

 久しぶりにプレイをすると、最初からマップが用意されている現代のゲームが、どれほど親切設計か思い知ったほどだ。特にラストダンジョンは本当に迷宮。マッピングなしで攻略するのはまず不可能だ。ノートと鉛筆を手元に置いてマッピングしながらゲームを進める重要性を知った子どもも多いのではないだろうか。

■初期ドラゴンボールゲームの礎となった画期的なゲームシステム

 スーパーファミコン『ドラゴンボールZ 超武闘伝』以降、現代までドラゴンボールゲームはアクション要素が強く、特に対戦型のシステムが人気。1986年に発売されたドラゴンボール初のファミコン用ゲーム『ドラゴンボール 神龍の謎』もアクションだった。

 しかし本作はボードゲーム。のちの名作『強襲!サイヤ人』や『激神フリーザ!!』で子どもたちを魅了したシステムは本作でほぼ完成されており、以降のドラゴンボールゲームの基礎となっている。

 具体的には、配られた5枚の手札を使用してボードを進めたり戦闘をこなす。カードには「拳」や「蹴」のような技名に加え、ドラゴンボールに「星」の数と「漢数字」が描かれており、それがマップを進めるときと戦闘の勝敗に直結する。

 技名は戦闘で繰り出す技、漢数字は悟空の防御力に影響する。ボードを一気に進めるために「星」の数が多いカードを使っては、戦闘で不利になるなど、シンプルながらもなかなか戦略性は高い。

 なお、戦い方次第ではゲームオリジナルキャラクターで序盤のザコ敵である「ウクレレ」にさえ、悟空は敗北するので一切の油断は禁物だ。

■アニメと同じストーリーがやはり楽しい

 ストーリーは漫画でも衝撃的だったクリリンが死亡したところからスタートする。ゲームオリジナルの展開を交えながら、原作のピッコロ大魔王編(初期)を踏襲している。

 原作でのピッコロ大魔王編は、それまでのコミカルな作風から一変し、クリリンやナム、ギランなど初めて死人を出すという絶望的な展開で幕を開ける。魔人ブウ編まで含めても、本エピソードが好きという人も多い。その内容を追体験できるので、興味がある人はぜひ触れてみてほしい。

 ただしレッドリボン軍編のエピソードが一部あったりなど、一部混乱するところもあるかもしれない。完全再現というわけではないが、うまくオリジナルエピソードが追加されているのでこの点も必見だ。

『ドラゴンボール 大魔王復活』35周年を記念して、久しぶりにプレイしてみたわけだが、はっきり言って難しく、「容量の制限があるため不親切なところが多く、やりづらい」という印象だった。

 ただし、勘違いしないでいただきたいのだが、決してゲームとしての完成度が低いわけではない。亀仙人や神龍が死ぬという圧倒的絶望展開にドキドキしたピッコロ大魔王編を、ゲームとして遊べるので本当におもしろかった。忘れている部分も多かったので原作を読み返して、もう1度プレイしようと思う。

全ての写真を見る