『ONE PIECE』と『銀河鉄道999』 二つの“人気作品の共通項”を語る 特徴のある島や星、主人公の体に残る傷跡も?の画像
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ONE PIECE』と『銀河鉄道999』は、いずれもその時代を代表する超人気作品だ。しかし、この2作品には意外な共通項があることをご存じだろうか?

 尾田栄一郎さんの『ONE PIECE』は、海賊をテーマにした冒険バトル漫画。一方、松本零士さんの『銀河鉄道999』は、銀河鉄道という宇宙空間を走る列車での旅を描く、人間ドラマが魅力のSF作品だ。一見、似たところなどないようにも思える。

 今回は、そんな『ONE PIECE』と『銀河鉄道999』の意外な共通項を語っていく。2作品に共通する要素について知ることで、人気作品の法則が見えてくるかもしれない。

■一定時間、その島や星を離れられない

 まず1つ目の共通項は、旅の途中で島や星に立ち寄り、一定時間その場所で過ごさなければならない理由があること。

 麦わらの一味には「ラフテル」、鉄郎には「惑星大アンドロメダ」という目的地がある。はじめから目的地が決まっているなら直接向かえばいいような気もするが、そうはいかない。その途中の島や星に立ち寄らなければならない理由がきちんと設定としてあるのだ。

『ONE PIECE』の世界では、「記録指針(ログポース)」という特殊な羅針盤を使って航海をしていて、途中の島で「記録(ログ)」をためながら目的地に向かう必要がある。ログは島に滞在することでためられるのだが、かかる時間は島によってバラバラだ。また物語終盤になった現在では、ラフテルへの行き方をしめす「ロードポーネグリフ」を集めるために航海を続けている。

 一方『銀河鉄道999』では、鉄郎は宇宙空間を走る銀河鉄道に乗車している。鉄道だから当然、停車駅というものがあり、停車時間も決まっている。ちなみに、停車時間はその星の1日。要するに自転周期なので、停車時間が10分の星もあれば、数百時間も停車する星もある。

 このように2作品とも、道中で多くの島や星に立ち寄り、その場所で必ず一定時間過ごさなければいけない。こうしたルールがあるからこそ、それぞれの地で様々な事件やドラマが生まれるのである。

■次々に特徴のある島・星を渡り歩く

 立ち寄った島や星にさまざまな特徴があり、大変魅力的である点も両作品の共通項ではないだろうか。

 例えば『ONE PIECE』の24巻から32巻「空島編」の舞台である空島は、高度1万メートルの上空に浮かんでいる。そこでは雲を使った道具を使ったり、背中に羽根をつけたりと独自の文化が築かれていた。また80巻から82巻「ゾウ編」では、島そのものが海上を歩き回る「象主(ズニーシャ)」という巨大な象で、その背中には獣の姿をした種族・ミンク族の国があった。

 一方『銀河鉄道999』では、そもそも目的地の「惑星大アンドロメダ」が、肉体をサイボーグ化した元人間やアンドロイドが住む「機械帝国」である。さらに、途中停車する星も非常に個性豊か。例えばアニメ11話に登場する「不定形惑星ヌルーバ」は、形状が常に変形する惑星で、住民もアメーバのような見た目をしている。またアニメ54話で登場する「終わりなき夏の惑星(エンドレスサマープラネット)」は、インセクターと呼ばれる昆虫人間が統治している星だ。

 バラエティ豊かな島あるいは星が次々と登場するので、どちらの作品でも「次はどんな場所に向かうんだろう」とワクワクさせられる。これぞ冒険物の醍醐味のひとつと言ってもいいかもしれない。

■主人公の身体にある象徴的な傷跡

 最後の共通項として、ルフィと鉄郎、それぞれの主人公に象徴的な傷跡があることを紹介したい。

 ルフィには、胸にバッテンの大きな傷跡がある。コミック56巻から61巻で繰り広げられる「マリンフォード編」の終盤、赤犬ことサカズキのマグマの拳によって、ルフィは自身を守ろうとしたジンベエごと胸をえぐられてしまった。その後トラファルガー・ローの手術により一命を取り留めたが、傷跡はしっかりと残ることに……。

 一方、鉄郎には背中に大きな傷がある。これはアニメ第12話「化石の戦士(前編)」で緊急停車した、「化石の星」でつけられたものだ。化石泥棒と決めつけられ、化石の番人である戦士に問答無用で背中を斬られたのである。その後、メーテルに助けられ医務室で縫合してもらうが、鉄郎の背中にも象徴的な傷跡が残ることになった。

 ルフィの傷跡も鉄郎の傷跡も、深手を負いながら仲間に助けられたものだ。彼ら自身の強さや、窮地を助けてくれる仲間の存在を感じさせるものとして、あえて残されているともいえるだろう。

 

 今回は『ONE PIECE』と『銀河鉄道999』という2つの人気作品の共通項を紹介してきたが、実はルフィが「海賊王におれはなる!!!!」とはっきり自分の夢を語るのも、松本さんの作品の影響によるものだ。『コミッカーズ』1998年10月号、ロイ渡辺さんによるインタビュー記事の中で、尾田さん自身がその趣旨を語っている。また過去バラエティ番組で書斎を紹介したときには、数多くの本が並ぶ中に『銀河鉄道999』もあった。

 このように尾田さんは『銀河鉄道999』をはじめとする松本さんの作品に親しんでおり、多かれ少なかれ作品作りに影響しているのは間違いないだろう。そう考えると『ONE PIECE』と『銀河鉄道999』に、今回紹介したような共通項があるのも自然なことかもしれない。