『鬼滅の刃』『スラムダンク』でも!どこが違う?コミックスで「大きな加筆修正」があった名作漫画の画像
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 本誌に掲載された漫画が、コミックスになった際に内容が加筆修正されることはよくある。作者による描き込みが増えたり内容が補完されることはファンにとってはとてつもなく嬉しいサービス。しかしコミックスが発売される頃にはもう本誌は買うことができないので、見比べられないのが残念なところではある。

 それが物語のクライマックスとなるシーンであったなら尚更だろう。

 今回は、物語の一番盛り上がる最終巻で大きな加筆修正が行われ、ファンを感動の渦に巻き込んだ作品を紹介したい。

 まずは、吾峠呼世晴氏による『鬼滅の刃』。現在アニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』が好評放送中だが、原作漫画は全23巻ですでに完結している。

 最終巻では、作者によるコミックスの余白ページで、「掲載時カットした漫画8ページと6ページ(それぞれ話の途中に差し込んでいます)」「描きおろしイラスト4ページ」「描きおろし特別漫画8ページ」「あとがき文章2ページ」「幕間に描きおろしの鉛筆画11ページ(いつもあるやつ)」が描き下ろしで追加されていると添えられた。驚異の大ボリュームである。

 最終巻の内容が本誌に掲載された際には、決戦後と最終回の内容にやや飛躍している感じがあったが、コミックスの描き下ろしでそれらが補完された。ネタバレになるので詳細は省くが、生き残った者たちのその後を想像させる1コマずつのイラストや、炭治郎とカナヲが桜の木の前で会話をするシーンなどがそうだ。

 中でも最も泣けるのが、最後に掲載された「生まれてくることができて幸福でした」から始まる8ページの漫画。散っていったキャラたちの姿もあり、ここまでの多くの苦難を想起させるとともに、生きているものたちへの愛あふれるメッセージとなっている。読者が「これからも生きていこう」と前向きに感じられるような追記と言えるのではないだろうか。

 どの書き下ろしページもあまりにも自然に補完されたので、これらの内容が本誌にはなかったと知って驚く人も多いだろう。

■コミックスと違った『SLAM DUNK』の最終回

 またこのようなケースは、井上雄彦氏による漫画『SLAM DUNK』でもあった。

 最終話は『週刊少年ジャンプ』でも異例だった表紙&巻頭カラーを飾っており、そのためコミックスのモノクロでの印刷時に、加筆部分との微妙なタッチの違いがあらわれている。追加のシーンやコマはいくつかあるが、たとえばコミックスでは流川と桜木の海岸でのやりとりの後に三井と宮城による体育館での練習試合が数コマ描かれているが、これは連載時にはないシーンだ。

 また、連載時にファンを興奮させた最終ページ末の「第一部完」という文言がコミックスにはなく、最後に作者のあとがきが載せられている点もそうだろう。本誌掲載時の「第一部完」の言葉を信じて、長年続編を待ち続けているファンも多いに違いない。

 最後は、単行本になる際に、大ボリュームの加筆修正が入ることで知られる野田サトル氏による『ゴールデンカムイ』。本誌の最終回は22ページだったものがコミックスでは26ページになっており、多くの書き下ろしが加えられた。

 たとえば主人公である杉元佐一のセリフが追加されており、アイヌ民族についてのモノローグの補足、野生の動物たちの描写も多く追加された。

 中でもファンを驚かせたのが、作中で死んだと思われる重要キャラをほうふつとさせる人物が登場したシーンだ。描き下ろされた巻末には、太平洋戦争末期のダグラス・マッカーサーと、ある日本人のエピソードが収録されているのだが、ラストのコマに謎の人物が映り込んでいた。明言こそされていないが、その特徴的な姿からある人物を想起した人は多かったようだ。

 これは内容の根幹に関わりかねないので、「あのキャラは実は生きていたのでは」と、コミックスを読んだファンはどよめいた。まさかの重要人物の生死が異なるという展開。果たして真実はどちらなのだろうか。

 基本的に加筆修正がされることは嬉しいものだが、リアルタイムで読んでいたときの最高のエンディングが修正されてしまうことで、残念な気持ちになることもゼロとはいえない。

 叶うなら、今からでも本誌を手に入れ、どちらの内容も楽しみたい!