岸辺露伴だけじゃない! 『ジョジョの奇妙な冒険』こんなにある、ジョジョラーなら押さえておきたいスピンオフ作品の画像
『岸辺露伴は動かない』(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

 1986年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載開始し、2023年3月号の『ウルトラジャンプ』で第9部『The JOJOLands』の連載が始まった、荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ。

 これまで第1部から第6部ではジョースターの血統をめぐる戦いが描かれ、第7部以降ではパラレルワールドを舞台として、さまざまな物語が紡がれて来たジョジョ。

「ジョジョ」と呼ばれる各部の主人公だけでなく、サブキャラにも魅力的なキャラが多い点も同シリーズの魅力。本編ではスポットライトが当たらなかったキャラがスピンオフで活躍できる機会もある。これまで荒木氏の作品に限らず、さまざまな作家が手がける小説や漫画が発行されてきた。

 スピンオフで最も有名なのは『岸辺露伴は動かない』だろう。第4部に登場する漫画家・岸辺露伴を中心として展開されるシリーズ作品で、直近では、『ウルトラジャンプ』2022年5・6月号に2号連続でエピソード11「ドリッピング画法」前後編が掲載された。

 また、同作はNHKで高橋一生主演で実写ドラマ化されており、5月26日には待望の劇場版『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が公開となる。岸辺露伴の活躍はまだまだ続きそうだ。

■人気作家による豪華コラボも

 第5部「黄金の風」の後日談である上遠野浩平氏の小説『恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-』も、『ジョジョ』好きならぜひ押さえておきたいスピンオフ作品だ。『ブギーポップは笑わない』の上遠野氏がジョジョを手がけるということで当時大きな話題を集めた。

 同作は物語の途中でブチャラティらと離反し、そのまま物語から退場したパンナコッタ・フーゴを主人公とした物語だ。彼の離脱は死亡によるものではなかったため、当時から多くの読者が彼のその後について気になっていたことだろう。

 同作ではジョルノがディアボロを倒してから約半年後が舞台で、後日談や過去のエピソードの掘り下げなど原作では描かれなかった部分が補完されるものとなっている。フーゴがピアニストになっていたり、トリッシュ・ウナが新人歌手になっていたりと本編からは想像できなかった情報も明かされた。

 ファンにとって嬉しいのが、第2部「戦闘潮流」に登場したドイツの将校ルドル・フォン・シュトロハイムの名前も出てくるところ。作中ではすでに故人であるが、こうした部を跨いでの繋がりが、『ジョジョ』ファンをさらにニヤニヤさせる。

 なお2022年から『ウルトラジャンプ』では、上遠野浩平氏原作、カラスマタスク氏作画による『ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋』が連載されている。

 同作は、第3部「スターダストクルセイダース」と第4部「ダイヤモンドは砕けない」がクロスオーバーする作品で、主人公は第3部に登場したDIOの配下のスタンド使いホル・ホースと、第4部「ジョジョ」の東方仗助。第3部の敵スタンド使いであるケニーGとマライアが結婚して酒場を営んでいるなど、本編では語られなかった驚きの設定もあった。

 このほかにも西尾維新氏や舞城王太郎氏など多くの人気作家が『ジョジョ』のスピンオフ小説を手がけており、2022年には乙一氏が第3部のメインキャラクターであるイギーとアヴドゥルの出会いを描いた『野良犬イギー』を執筆。こうしたコラボは、現役作家からもリスペクトされる荒木氏だからこそ実現できた企画ではないだろうか。

 そのほか、レアなスピンオフ作品といえば、『オインゴとボインゴ兄弟 大冒険』だろう。

 第3部に登場したスタンド使いのオインゴとボインゴの兄弟。弟のボインゴは「漫画を通して近い未来を予知することができる」というトト神のスタンドを持っているが、この漫画がそのまま文庫化されている(2002年、集英社文庫)。中には岸辺露伴の解説もついている。気になる評価は、なんと絵もストーリーも大絶賛。しかし漫画がスタンドの能力によって書かれたものだと知ると「子どもの絵日記と同じレベルだ!」と酷評していた。

 現在は残念ながら絶版となっているが、少ないページながら岸辺露伴“らしさ”が詰まった、ファンにも嬉しいレアな書籍だった。

 ジョジョのスピンオフは上記のように現在発行されていないものも含め、まだまだ多くのものがある。しかし、スピンオフで内容を補完することで、より原作本編を奥深く楽しめるのは間違いない。