『3×3 EYES』に『無限の住人』なりたくてなった訳じゃない…!? 強さの裏で「不死身」になって苦しんだキャラ3選の画像
アフタヌーンKC『無限の住人』第30巻(講談社)
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 漫画やアニメには、不老不死の無敵の肉体を持つキャラが登場することがある。決して老いることもなく、理想を叶えたかに思える彼らだが、自らが望んでそうなるというケースは少なく、酷たらしい道を歩むことがほとんどだ。

 そこで今回は漫画においては「最強」と思われそうな「不老不死キャラ」に注目。なりたくて「不老不死」になったワケではない彼らの苦悩を振り返りたい。

■まったく無敵ではなかった不死身の男・万次

 まずは沙村広明氏による『無限の住人』(講談社)から主人公の万次。同作の舞台は江戸時代の日本で、腕自慢の剣客たちが命を賭けて、己の強さを示すために戦いに明け暮れていた。そんな中で万次は、自らの正義のために刀を振るうもお尋ね者となり、追われる立場となってしまう。

 そんなある日、万次は八百比丘尼に血仙蟲という怪しい蟲を身体に移植され、不死身に近い肉体を手に入れる。刀に斬られても時間がたつと傷口は塞がり、手足を切り落とされる程度ならくっつけることもできてしまう。そして年も取らないので身体をバラバラにされない限り、永久に生き続けることができそうだ。

 そんな不死身の肉体を手に入れた万次だが、決して最強というわけではなく、立ちはだかる達人たちにやられまくる、毎回満身創痍の戦いをしていたキャラ。何度も斬られ、体を貫かれ、治るとはいえ痛みが消える訳ではなく、ひたすら同じ苦しみを繰り返し味わうことになる。しかも不死身の肉体を相手が面白がり、身動きが取れないまま切り刻まれ人体実験をさせられることも……。

 とても辛くなるシーンのオンパレードで、読者の誰もが万次のような人生だけは御免だと思ったに違いない。

■「永遠の16歳」に悩みながら戦った藤井八雲

 高田裕三氏による『3×3 EYES』(講談社)の藤井八雲は、不老不死の先駆けのようなキャラだった。もともと普通の高校生だったが、チベットの奥地からやってきた少女・パイとの出会いで運命が大きく変わってしまう。きっかけとなったのは、八雲が怪鳥タクヒの攻撃からパイをかばったこと。実は彼女は不老不死の術を操ることができ、八雲を不死身の妖怪「无(ウー)」に変えてしまったのだった。

 そこから八雲は体をバラバラにされても、潰されても、何も無かったかのようにすぐに元通りになってしまうように。

 パッと見では便利にも思えるが、無敵の一方で肉体は年を取らず、八雲は永遠に16歳のまま。第2部では20歳になっていたが、見た目だけは変わらずだった。同級生がどんどん年を取っていく横で、置いてけぼりになっている感じもあり、どこか寂しそうでもある。自分だけが普通の人間じゃない……そんな苦悩を抱えながらもパイのために何度も致命傷を負う、単純な“無敵”ではないところがかっこいいキャラだった。

■二千年の時間を苦しんだホーエンハイム

 荒川弘氏による『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)のホーエンハイムも、望んでいないのに不老になったキャラである。ホーエンハイムは、二千年前に奴隷として働いていたが、お父様がホーエンハイムの血液から偶然にも生成されたことで、人生が大きく変わってしまった。

 全ての要因となるのが、お父様が国王をそそのかして作らせた巨大錬成陣によるクセルクセス人の滅亡だ。お父様は、クセルクセス人の命を賢者の石に変え、ホーエンハイムと自分にその力を分け与えた。それによってホーエンハイムは、死ねない身体になってしまったのだ。

 ホーエンハイムは、多くの民を犠牲にしてこの力を手に入れたことを悩み続けていた。だからこそ贖罪のために二千年を費やして、お父様に対抗する手段を探していたのだろう。愛する女性を見つけ、子どもを授かり目的も達成したが、二千年という時間を生き続けるのは、かなり辛く苦しい道のりだろう。

 手塚治虫氏の漫画『火の鳥』では火の鳥に不死の体を与えられたキャラが永遠の命に苦しむ姿が描かれている。また『ジョジョの奇妙な冒険』第2部でも、永遠の時間を彷徨うことになったカーズの最期が衝撃的だった。

 不死身のキャラは羨ましいと思ってしまうかもしれない。しかし、永く生き続けることによる絶望もあるのだ。

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