『鋼の錬金術師』イズミ・カーティスに「ARMS」高槻美沙…実は完全武闘派!?「主婦」の皮をかぶった最強キャラ3選の画像
ガンガンコミックスデラックス『鋼の錬金術師』第5巻より( スクウェア・エニックス)

 漫画やアニメにはこれまで数多くの主婦キャラが登場してきた。国民的な長寿作品でいえばアニメ『サザエさん』のフグ田サザエや『クレヨンしんちゃん』の野原みさえなどなど。いずれも主婦として、日常を過ごす名キャラたちだが、バトル漫画やギャグ漫画では「主婦」の顔の他にもうひとつの姿を隠し持った完全武闘派のキャラもいたりする。
■ピンチのときに駆けつける「通りすがりの主婦」

 最強主婦キャラの代表格といえば、荒川弘氏による『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)に登場するエドやアルの師匠、イズミ・カーティスだろう。

 イズミはかつて、流産した子どもを取り戻すために禁忌とされた人体錬成を行い、対価として肉体の一部を失った。しかしその代償と引き換えに、錬成陣無しでも錬金術が使える特異体質になり、国家錬金術師に匹敵する力を手にいれた。

 普段は旦那を愛する普通の主婦として田舎でひっそりと暮らしているが、作中でも最強クラスの実力の持ち主で、エドがピンチのときには駆けつけてくれる心強い存在。そして、相手が何者かと尋ねられて「主婦だ!」と返すのが決めセリフで、錬金術と体術で敵を容赦なく倒してしまう。

 ホムンクルスのスロウスとの戦いでは、目に見えないほどの速さに反応して一本背負いで放り投げ、討伐に大きく貢献していた。そんな実力を持つイズミだからこそ、一目置かれて人柱候補に選ばれ狙われることにもなる。

 普段は便所スリッパを履いているが、実戦になるとエドやアル以上の力を軽々と発揮。彼女こそ「主婦の皮をかぶった最強武闘派キャラ」と言えるのではないだろうか。

■「笑う牝豹」の異名を持つ「のんきな母ちゃん」

 また皆川亮二氏による『ARMS』(小学館)の主人公の高槻涼の母親、高槻美沙もすさまじい主婦だ。第1話から登場し、息子いわく「のんきな母ちゃん」だという彼女は、見た目も優しそうなおっとりした優しい性格の持ち主。近所づきあいもしっかりとしていて、涼の幼なじみのカツミとも仲が良い普通の主婦キャラだった。

 だがそんな彼女の真の姿が、エグリゴリのサイボーグ兵士に捕まったことで明らかになる。人質にされた美沙は、隠し持った拳銃や包丁を使って敵兵士をあっさりと殲滅。残りの兵士に対して機関銃で応戦をしたのだ。

 そして投げ込まれた手榴弾にもすぐさま反応して窓から飛び降りると、着地と同時に二丁拳銃を発砲して潜んでいた兵士を狙撃。これには兵士たちはもとより、読者のほとんどが「まさか普通の主婦だと思ったのに……」と思ったに違いない。

 実は彼女は「笑う牝豹」や「地獄の黒魔女」といった異名を持つ伝説の傭兵。銃撃だけではなく近接戦闘を得意としている上に、作戦を見抜く力もずば抜けており、超人部隊「レッドキャップス」との戦いでは大きな活躍も見せる。

 多くの戦果を残した指揮官のガウスからも「最悪の戦況でも最大の戦果を生み出す戦場の天才よ」と称されるほどの実力者。イズミ同様、主婦のふりをした最強キャラなのだ。

■明らかに範馬勇次郎な最強主婦

 またバトル漫画だけでなく、ギャグ漫画にも最強の主婦キャラがいる。それが浜岡賢次氏による漫画『浦安鉄筋家族』(秋田書店)に登場する花園垣の母親、花園勇花だ。垣は9歳の小学生とは思えない超怪力で、筋骨隆々な風貌は板垣恵介氏による『グラップラー刃牙』のジャック・ハンマーそっくり。そしてその母である勇花は、どこからどう見ても範馬勇次郎なのだ。

 板垣氏公認のもと行われたこのパロディにより、勇花は勇次郎の持つトンデモエピソードをそのまま引き継いでいる。たとえば飯を炊飯器で炊くのではなく、米を握りしめて握力のみで炊き上げてしまったり、手刀でネギを刻んだりする。主婦として家事をこなしているが、その全てに怪力が活かされているのだ。他にも流れるプールを逆走してプールの水を逆流させ、パンチ一発で樹木を山の外まで吹き飛ばしてしまう。そんなエピソードからも、地上最強のシングルマザーという名に相応しい。
 
 主婦キャラはたくさんいるが、完全武闘派と呼べるキャラはそういない。そして見た目や振る舞いから、強さが分からないキャラもいれば、明らかに強そう……と思えるキャラもいる。そんなキャラがいるからこそ、作品に意外性を与えてくれるのだろう。