彦一やヤスも…『SLAM DUNK』で“将来仕事がデキるだろう”男たち3選…バスケだけじゃない彼らの魅力とはの画像
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 井上雄彦氏によるバスケットボール漫画『SLAM DUNK』。2020年に連載開始から30周年を迎えたが、今なおその人気は衰えず、最新映画『THE FIRST SLAM DUNK』が本日からいよいよ公開されることとなった。

 それにしても、30年だ。桜木花道や流川楓など、高校生のお兄さんたちの活躍に目を輝かせていたかつての少年少女も、いまや彼らよりずっと年上になってしまった。

 そして社会に出た身で本作を見てみると、実に将来有望な人材が揃っていることに気づく。たとえば湘北高校主将・赤木剛憲は厳しくも誠実で信頼でき、まさにチームを率いるキャプテンにふさわしい。対して副将・木暮公延は優しく冷静に周囲をまとめながら赤木を支える、いわば“縁の下の力持ち”だ。二人とも、きっと社会に出ても十分通用するだろう。

 今回は、そんな社会に揉まれた中年の目線から、名作『SLAM DUNK』を振り返り、“将来仕事がデキるだろう男たち”をピックアップしていく。

■リサーチ力がハンパない! 陵南高校1年「相田彦一」

「要チェックや」のセリフと、関西弁のイントネーションでおなじみの相田彦一。彼は作中ではスタメンで試合に出られるような選手でこそないが、そのリサーチ力にはずば抜けたものがある。

 まず、現場まで直接足を運んでリサーチしようという、その行動力が素晴らしい。湘北高校との練習試合前には、放課後わざわざ湘北まで偵察に行っている。陵南は前年県ベスト4、対する湘北は初戦敗退の弱小校。おまけにただの練習試合にもかかわらず……だ。その様子から、些細な情報であっても漏らさずキャッチしようという執念がうかがえる。

 また大阪予選決勝を見に行った際には、大阪代表・豊玉高校の態度に腹を立て、私怨から豊玉にかんするデータを集めまくった。そしてインターハイ初戦で豊玉と対戦予定の湘北に、莫大な量の豊玉データをFAXで送りつけるということまでしている。

 現代は、戦争や紛争でも情報戦や諜報戦が主軸に置かれるような時代だ。彦一のこのリサーチ力は、どんな分野においても戦力になるだろう。ただ、桜木の主観バリバリの情報を真に受けるバカ正直さも見られ(事前に桜木の抜群の身体能力を目の当たりにしたせいで、桜木の話に妙に信ぴょう性が増してしまったところはあるのかもしれないが)、もうちょっと人を疑うことを知ってもいいかな、という気もしないでもないが。

■大人しい人ほど実は肝が据わっている? 湘北高校2年「安田靖春」

「ヤス」こと安田靖春は、正直あまりパッとしない地味なキャラだった。とくに物語初期のほうでは、後輩の桜木花道にいいように振り回される姿が印象的だ。そんなヤスにスポットライトが当たったのが、三井寿によるバスケ部襲撃事件である。

 問題を起こせば最悪廃部の可能性もあるバスケ部に対し、横暴な行為を繰り返す三井たち。カッと来た桜木が思わず手を出しそうになると、ヤスは桜木にしがみついて必死に止めようとする。これにはチームメイトも若干驚いたような反応を見せている。それからヤスは三井の前まで歩み出ると、「お願いです 帰ってください」「お願いします」と静かに頭を下げる。派手さこそないが、内に秘めた信念と芯の強さに胸打たれる場面だ。

 これを機に、ヤスのキャラは“大人しそうに見えて実は肝の据わった奴”として周知された。インターハイ初戦の豊玉戦ではヤジや挑発に乱されたチームのペースを取り戻すために、桜木に代わってヤスが投入される。監督の安西先生に「君が みんなをコントロールする いいね?」と送り出される様子からは全幅の信頼が窺えるし、事実、ここから湘北はいったん態勢を立て直すことができた。

 もっともその後、観客からの汚いヤジには一瞬「うっ」と怯む様子を見せていたので、まったくの怖い者知らずというわけではないようだ。怖いものは怖い、でも屈しない。そこがまた良い。

 将来普通の企業で仕事をしているヤスを想像すると、他部署の面倒くさいお偉いさんに対して、退くことなく、でも押しすぎて反感を買うこともなく、上手に連携している姿が目に浮かぶ。各部署で引っ張りだこになること間違いなしだ。

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