連載開始35周年! 『ダイの大冒険』ノヴァやメルル、チウも…サブキャラが命をかけて仲間たちに勇気を与えた名シーンを振り返るの画像
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』第1巻 [Blu-ray](エイベックス・ピクチャーズ)

 1989年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が開始され、今年35周年を迎える『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修:堀井雄二氏、原作:三条陸氏、作画:稲田浩司氏)。

 感動する名シーンが多い本作では、主役のダイやポップといった“アバンの使徒”以外にも魅力的なキャラが多い。そこで、サブキャラが命をかけて仲間たちに勇気を与えた名シーンを振り返ってみよう。

■プライドの固まりだった北の勇者! 自身の生命エネルギーを費やして仲間を奮い立たせようとした「ノヴァ」

 まずは、“北の勇者”ことノヴァだ。初登場時は生意気な一面が目立っており、レオナには「性格サイテーで自己中心的でいかにもボンボン」とまで酷評されていた。(しかも父親の前で……)。

 勇者としての実力は十分で、ハドラー親衛騎団との一戦では単騎で乗り込み、ヒムに強烈な一撃を食らわせるほど。しかし、プライドが高いノヴァはポップやダイの忠告を無視してしまい、結果的に惨敗する。だが、ダイとの特訓中に真の勇者の力を思い知らされ、次第に心を入れ替えていくこととなる。

 ノヴァの成長を促すうえで欠かせない存在だったのが、魔族のロン・ベルクだ。ヒュンケルとクロコダインを救出後、ロン・ベルクとノヴァは地上部隊として、アバンの使徒がミナカトールを作る魔法陣を守るために魔王軍と対峙する。

 ここで超魔ゾンビとなったザボエラを倒すため、自身の生命エネルギーを使って「命の剣」を作り出すノヴァ。ロン・ベルクからは命を懸けても無駄死になるから止めるよう促されるのだが、ノヴァは命が燃え尽きるまで叩きまくってわずかな傷でも残せればそれでいいと言う。自分の行動によって仲間にあとから攻めるだけの勇気を与えたいと、命を振り絞るのだ。

 そのノヴァの行動や心意気を見て、ロン・ベルクの心は動く。ロン・ベルクは自身の最強の秘剣の封印を解除し、両腕を破壊してまでザボエラを倒すのであった。

 まあ、ノヴァは当初からマヒャドを使えて闘気を扱える天才肌の戦士だ。初期のダイたちよりも遥かに強い。プライドが高くなってもおかしくはないかもしれないな。

■ポップが覚醒するきっかけを作った占い師! 一途な想いで凶弾から身を挺した「メルル」

 本作は主役のダイだけではなく、ひ弱な存在だったポップの成長物語でもある。そんなポップが覚醒するきっかけを作ったのが、占い師の少女・メルルだ。彼女は弱い人間でありながら、自分にはない芯が強くて明るいポップに憧れを抱いていた。

 ポップはマァムのことが好きなので三角関係になりそうな雰囲気もあり、メルルは2人の邪魔になるのでは?なんて、筆者も思っていたものだ。

 さて、ミナカトールを作るには“アバンのしるし”が光らないといけない。しかし、ポップだけはどんなに練習しても光らせることができなかった。ぶっつけ本番でも失敗し、仲間から励ましの言葉をかけられるポップ。その際、マァムから“強い心の持ち主で尊敬している”と言われ、反射的に“おまえに尊敬なんかされても全然うれしくない”と、キツイ言葉で返してしまう。

 そんななか、ザボエラがポップを狙って毒牙の鎖を放つ。邪悪な気配に反応したメルルは、咄嗟にポップをかばい被弾してしまった。そしてメルルは息も絶え絶えのなか、ポップなら“アバンのしるし”が光るはずだと伝える。回復呪文では治せないものらしく、メルルはどんどん弱まっていく。

 ここで業を煮やしたレオナがメルルの想いを代弁し、ポップに激を飛ばした。そしてメルルは答えが分かっているのにもかかわらず、ポップの口から好きな人の名前を言ってほしいと望み、そして自分をあきらめさせてほしいと願うのだ。死ぬ前の望みがフラれることなんて……泣けてしまう。

 勇気を振り絞ったポップは「マァムが好きなんだよおおっ!!!!」と絶叫。するとここで、アバンのしるしが光を放った。なんと勇気の心は勇者・ダイではなくポップだったという展開に。さすがはアバン先生、使徒の心理を分かっているものだ。

 だが、その後メルルは死亡。悲しむポップが「こんなおれなんかのためにっ…死なないでくれ~っ!!!!」と叫ぶと光の柱が立ち上り、凄まじい魔法力でメルルを蘇生させた。ポップが賢者に覚醒したのだ。

 でも、ポップってそれでもマァムを選んじゃうんだよな……。ある意味、一途で素晴らしいのだが、なんとも罪な男だ。

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