「高校卒業」してからどうなった? 続編やスピンオフで描かれた「名作少女漫画」のヒロインたちの“その後”の画像
『ママレード・ボーイ』アニバーサリーDVD-BOX(東映アニメーション)

 1990年代の少女漫画界をけん引していた名作漫画たち。作品の中で繰り広げられる甘酸っぱくて切ない恋愛模様は、日本中の少女をドキドキさせたものだ。中でも高校が舞台となっている作品は、物語はもちろん、登場人物たちの容姿も大人っぽくて憧れた。

 さて、3月に入り卒業式のシーズンを迎えたが、少女漫画では本編で素晴らしいラストを迎えた後、登場人物たちのその後の様子を続編やスピンオフで描いた作品がまれにある。そこで今回は、90年代にヒットした名作少女漫画の登場人物たちの「高校卒業後」に注目して振り返っていきたい。

■『天使なんかじゃない』の小ネタも盛りだくさんだった『ご近所物語』

 まずは、1991年から『りぼん』で連載されていた矢沢あいさんの代表作『天使なんかじゃない』。私立聖学園の生徒会を舞台に、高校生の青春を描いた名作だ。作中では卒業後に主人公・冴島翠がK女子美に進学した後、新任の美術教員として聖学園に戻ってくるまでが描かれている。

 そして、完結翌年の1995年に同誌でスタートした『ご近所物語』は、『天使なんかじゃない』と同じ世界線の作品で、少し大人になった彼らの姿を見ることができた。

 翠に片思いをしていた中川ケンは、スカウトがきっかけでミュージシャンとしてメジャーデビューし、『ご近所』では人気バンド「マンボー」のボーカルとして活躍中。そして『ご近所』の主人公・幸田実果子の恋人である山口ツトムは容姿がケンそっくりのため、たびたび話題に上がっていた。

 翠と恋人の須藤晃は、実果子がフリマで開いたサークル「アキンド」の初出店時に客として登場している。このときの二人は20歳の設定だが、相変わらずラブラブな様子。“エンジェル冴島”こと翠が実果子制作の「天使の羽のリュック」を買ったのも粋な演出である。

 さらに、実果子の中学時代を描いた特別編『カラフル』では、翠たちの同級生である瀧川秀一が、大学入学を控えた家庭教師として登場。少し大人っぽさを増し、ワンレンの爽やかイケメンっぷりは健在だった。

 秀一の恋人で語学留学のためにイギリスに留学した麻宮裕子は、『ご近所』最終巻でロンドンに留学した実果子が乗った電車内に登場し、彼女に視線を送っていた。セリフはないが、マミリンファンとしては当時と変わらぬ姿が見られて嬉しかったものだった。

 このように、他作品のキャラが次々と再登場する矢沢作品。1999年からファッション誌『Zipper』で連載された『Paradise Kiss』は『ご近所』の続編ということもあり、前作のキャラたちが大人になった姿で総登場。それぞれ意外な職業に就いていたりと、驚きのある演出だった。

■主人公が妹・弟にバトンタッチ!『ママレード・ボーイ little』

 続いても90年代『りぼん』を代表する少女漫画のひとつである、吉住渉さんの『ママレード・ボーイ』より。

 両親がカップル交換して再婚し、2家族で暮らし始めるという衝撃的な展開から始まる小石川光希と松浦遊の恋物語は、人々の目をクギヅケにした。物語は高校卒業後、二人が切ない別れを経て真実の愛に目覚めるところで完結している。

 そして2013年、その13年後を描いた『ママレード・ボーイ little』が『Cocohana』にて連載スタート。主人公は、前作完結後に生まれた光希と遊の妹と弟で、新しい両親同士の間に生まれた子どもゆえ、本人たちに血の繋がりはないが光希たちとは繋がっているという複雑な状況になっている。ただ、「ママレ」の世界観が引き継がれているため、当時のファンも楽しめるだろう。

 30歳を超えた光希と遊は、子どもが欲しくなったら入籍するという前提で、8年もの間、同棲生活を継続。事実婚状態になっていたが、後に周囲からの後押しで結婚した。自分たちの子どもをどうするか悩んでいる描写もあり、なかなかに現実的である。

 須王銀太と鈴木亜梨実カップルは結婚しているが、キャリアを大切にしたい亜梨実と早く子を持ちたい銀太ですれ違いが起こり、海外と日本の別居生活3年というシビアな状態になっていた。大人になった当時の読者はどちらの気持ちもわかる……と考えさせられるかもしれない。しかし、亜梨実の帰国後、子を授かり円満な関係に戻っている。

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