無能な弁当箱FAXがまさかの再登場!?ファンも沸く『犯人の犯沢さん』の『コナン』いじりの数々の画像
『犯人の犯沢さん』(C)かんばまゆこ・青山剛昌/小学館・「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」製作委員会

 青山剛昌氏・原案、かんばまゆこ氏・作画によるスピンオフ漫画を原作とした、2022年10月より放送中の10分間のショートアニメ『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』。同作は人気ミステリー漫画『名探偵コナン』の“犯人”を主人公としたギャグ作品で、ファンがこれまで内輪でネタにしてきた以上の「コナンいじり」が毎回話題を集めている。

 まず第1話で犯沢さんが引っ越してきた米花町について。コナンたちが学校生活や買い物などをして過ごす米花町だが、その異常な殺人事件発生数について周辺からは恐れられており、実は不動産のほとんどが事故物件になっているという。これは『コナン』が連載期間の長さのわりに作品内での時間経過が短く、一年での犯罪発生数がかなり多くなってしまったためである。

 考えてみれば当たり前だが、事故物件というのは普通に読んでいてもなかなか気付けない鋭い視点で、このようなメタなネタが毎回のように繰り広げられる。

 たとえば同作には、おなじみの『コナン』キャラたちが同じ声優によって登場するが、そのキャラクターいじりもなかなかのもの。

 6話で、金欠でバイトを探している犯沢さんの前に阿笠博士がにこやかに登場する。そして博士が日給5万円で持ちかけたのが、「麻酔の治験」のバイトだった。これはもちろん、コナンがいつも使う「腕時計型麻酔銃」用のもの。いつもいつも毛利小五郎を眠らせていたところ、耐性がついて効き目が悪くなってしまい、どんどん効果の強いものを作らざるを得なくなっているのだという。

 また3話で博士はビルが大爆発する様子を見ながら「春じゃのぉ〜」とのんびり。一句読んで「爆発は春の季語じゃよ」と言う始末だった。これは毎年『コナン』映画が春に上映され、そのたびに劇場版内で派手な爆発が起こっているためだ。これらのことから、犯沢さんは博士をマッドサイエンティストだと思っている。しかも声優を務めるのはいつもの緒方賢一さん。いろいろな意味でギリギリのネタにファンも思わず笑ってしまったことだろう。

 同作ではヒロインの毛利蘭の扱いも一筋縄ではいかない。ツノのように見える髪型はなぜか本作ではまっすぐ頭上に向かって伸びており、性格もかなりドライとなっている。

 5話では空手の構えだけで敵を吹っ飛ばし、銃弾を素手で受け止め、包丁を素手、しかも指先だけでひん曲げてみせた。彼女の強さが原作以上に誇張されており、『コナン』原作で起きる事件の多さに辟易している様子をみせた。

■ファンも忘れていた発明品を…

 そして忘れてはならないのが、原作でほんの少しだけ出てきた阿笠博士の発明品「弁当箱型FAX」の再登場シーン。これはコミックス7・8巻収録の「プロサッカー選手脅迫事件」で登場した、弁当箱とファックスが一体化した、誰かに見られても不審がられず相手とやりとりができるという発明品。コナンは「弁当箱に市販のFAXを取りつけただけじゃねーか」と一蹴しており、しかもスマホの普及した現在ならわざわざファックスを持ち歩く必要はないので、原作での再登場は今後ないと思われる。

 それが『犯沢さん』2話では満を持しての再登場。しかし本来の意図で利用されたわけではなく、コナンがキック力増強シューズを使う際に蹴ったものとして一瞬登場するという切ないものだった。さらに、その後は「おかずは犯人と目暮が美味しくいただきました」というテロップまで表示。令和では役に立たないアイテムを静かにいじっているようだった。

『犯沢さん』ではこのほかにも『コナン』好きであればあるほどクスッと笑える展開が随所に仕込まれている。同アニメを見たら、これまでとは違った観点で『コナン』をツッコミながら楽しめそうだ。